理事長ご挨拶

一般社団法人日本脳神経外科学会
理事長  冨永 悌二

脳神経外科の沿革 脳神経外科学会は昭和23年(1948年)に日本脳・神経外科研究会として発足し、昭和27年(1952年)に日本脳・神経外科学会と改称しました。その後、昭和40年(1965年)に当時の医療法第70条に「脳神経外科」が診療科名として正式に加えられました。法律用語上の理由から「脳」と「神経」の間にあった「・」が除かれ、学会名も日本脳神経外科学会と改名し現在に至っています。平成15年(2003年)には、本学会はそれまでの任意団体から社団法人になり、更に平成24年(2012年)には公益法人制度改革の流れのなかで一般社団法人となりました。現在学会員数は、1万人を超えるに至っています。

脳神経外科とは 脳神経外科は基本的診療領域に属し、我が国の医療・医学を支える根幹の診療科です。全国全ての大学に脳神経外科学講座が設置され、地域の基幹病院においても脳神経外科は欠くことのできない診療科となっています。また、一般病院や診療所・クリニックにおいても活躍しており、まさに第一線で地域医療に貢献しています。脳神経外科医の活動は、神経系に対する高度な手術に限定されるものではなく、一般的な救急対応、MRI、CT、血管撮影などの画像診断、種々の神経疾患に対する非外科的治療、脳ドック、術前術後管理、リハビリテーション、長期予後管理と極めて多岐にわたっています。よって脳神経外科は、「脳・脊髄に生じる疾患の予防、急性期治療、慢性期治療」を網羅的に行う診療科であり、脳神経外科医は「外科医の目と技を持った神経系総合医」といえます。

脳神経外科専門医 日本脳神経外科学会では、脳神経外科医の質を担保すべく昭和41年(1966年)に麻酔科学会に続き専門医制度を設立し、以来約7700人を超える脳神経外科専門医を世に送り出してきました。本学会は、早くから専門医認定を学会の基幹事業と位置づけ、昭和44年(1969年)には筆記・口頭試験の2段階試験を採用し、訓練施設の認定、生涯教育のクレジット制の採用、平成23年(2011年)からの研修プログラム制移行など、公平性・透明性を担保した質の高い専門医制度を構築してきました。これらの制度は、現在の日本専門医認定機構が認定する専門医制度を先取りしたものであり、高い評価を受けています。現在、各都道府県に1つ以上の研修プログラムがあり、全国で専門医が育成されています。脳神経外科の対象は、脳卒中や脳神経外傷などの救急疾患、脳腫瘍、てんかん・パーキンソン病・三叉神経痛・顔面けいれん等の機能的疾患、 小児疾患、脊髄・脊椎・末梢神経疾患などです。脳神経外科専門医は、これらの予防や診断、救急治療、手術および非手術的治療、あるいはリハビリテーションにおいて、 総合的かつ専門的知識と診療技術を持ち、必要に応じて他の専門医への転送判断も的確に行える能力を備えた医師です。

時代と共に歩む脳神経外科 昭和48年(1973年)には、第5回国際脳神経外科学会が、東京大学脳神経外科佐野圭司教授(当時)会長のもとで東京において開催され、それまで発展途上にあった我が国の脳神経外科が、欧米と肩を並べる契機となりました。現在では、本学会会員による臨床あるいは学術的な活動は世界トップレベルの水準にあり、我が国は世界の脳神経外科をリードする立場となっています。昨今医療を取り巻く環境は、超高齢化社会からの人口縮小、様々な技術革新、働き方改革など、大きく変わりつつあります。またこれまで以上に高いレベルの医療安全や医療倫理が求められる時代になりました。私たち脳神経外科医は、これら時代の変化に応じ「時代と共に歩み、脳・脊髄・神経をまもる」ことをモットーに、高い理念と熱い情熱とを抱いて、日夜脳神経疾患の診療に取り組んでいます。本学会は、これら脳神経外科医を診療や研究、教育など様々な面で支え、我が国の医学・医療の発展に貢献していく所存です。本学会に対して社会の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 

2019年10月

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